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滞納1カ月で契約解除は可能?

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マンションの一室を貸していますが、入居者が3カ月連続で賃料を支払ってくれません。賃貸借契約書には、「1カ月でも賃料の不払いがあった場合は、催告なしに賃貸借契約を解除できる」という一文があります。契約を解除して出て行ってもらうことはできるのでしょうか?

経過年数グラフの出発点の合意

ここで「経過年数グラフ」についても、説明しておきましょう。
経過年数グラフとは、時間の経過とともに、「修復対象物」の価値がどれくらい減少していくかを示したグラフのことです。
ガイドラインでは、クロスについて、6年で残存価値が10%(6年目以降は一律10%)になるという基準を提示しています。このように、原状回復義務の範囲は、経過年数によって一定の制約を受けます。
そうなると、借主としては、物件内のクロスやカーペットが、交換してから何年くらい経過しているかを知りたがるかもしれません。しかし、現実には、新築物件を除けば、借主が入居した時点でこれらを把握するのは困難でしょう。
経過年数が不明であることから生じる無用のトラブルを防止するためには、各対象物の修理・交換の履歴を残しておくこと、また、借主に対して入居した時点で各対象物の経過年数が何年であったのかを明らかにしておくべきです。
また、ガイドラインは、経過年数が不明である場合には、入居時点での設備等の状況は、必ずしも価値100%のものばかりではないので、その状況に合わせて経過年数のグラフを下方にシフトさせて使用することとしています。
もし、貸主が修理・交換の記録を作成しておらず、対象物の経過年数が不明な場合には、後の争いを避けるために、借主・貸主の間で経過年数グラフの出発点を決めておくとよいでしょう。

入居・退去時の物件チェック

原状回復費用を算出するためには、引き渡すときの物件の状態と明け渡すときの物件の状態とを比較して、どの部分がどのように傷んだのかを確定させなければなりません。
訴訟で原状回復が問題となり、貸主が「畳の焦げ後は借主が入居後にできたものだ」と主張し、借主が「畳の焦げ後は入居前からあった」と主張したとします。
そもそも賃貸借契約を開始する前から存在していた損耗について、その後に入居した借主が負担する必要はないので、貸主は畳の焦げ後が入居後に生じたものであることを立証しなければ裁判に勝てません。
また、訴訟に至らなくても、損耗の対象について争いが起きれば、話し合いが長期化することは必至です。そこで、「物件状況確認チェックリスト」を作成して物件の状態を確認しておけば、損耗の発生した時期、箇所、程度について無用な争いを避けることができます。このチェックリストの作成は、貸主・借主双方にとってメリットがありますから、是非作成するようにしてください。また、目立つキズや汚れがある場合には、入居前に写真を撮影しておき、視覚的に損耗を明らかにしておくとよいでしょう。
なお、写真を撮る場合には、損耗部分の全体が確認できるように、引いた写真とアップの写真を両方撮っておくようにしましょう。また、写真はひとつの箇所について複数枚撮影し、忘れずに日付を入れておいてください。
そして、契約期間中に、カビ・結露の発生、地震による窓ガラスの亀裂など賃貸物件に重大な変化が発生した場合、借主がすぐに報告するよう告知してください。
この報告をすぐに受けることで、賃貸物件に発生した異変が、いつ、何を原因として発生したものかが明らかとなり、無用な争いを防ぐことができます。

借主に契約書の記載内容の確認を促す

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賃貸借契約書は、貸主あるいは仲介業者である不動産業者が準備するのが一般的です。そのため、「入居期間中に生じた通常の使用に伴う損耗を含むすべての損耗について、借主が補修義務を負う」といった、本来認められない条項を定めた契約書が使用されている場合があります。
借主は、希望する物件がみつかった場合、入居のことだけに注意が向き、契約書や重要事項説明書の内容を十分に把握しないまま署名・捺印してしまう傾向にあるようです。
判例は、「通常の使用による損耗は建物の償却であり家賃に含まれているのであるから、通常使用による損耗は原則として貸主が負担すべきである」と考えおり、通常使用による損耗を借主の負担とする特約の成立について、極めて限定的な場合にしか認めていません。
貸主側としても、借主に対し契約書の内容を細かくチェックし疑問点は契約締結前に確認するよう促すことがトラブル回避につながります。
また、貸主側では、契約書に記載のある原状回復に関する特約がすべて認められないことを理解し、可能であれば、無効と判断されそうな条項はあらかじめ取り除くか、内容を変更しておくべきでしょう。

円満に契約満了を迎えるには

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知人の家主が入居者の引っ越しの際、原状回復についてひどくもめたそうです。私は、もめることなく円満に契約満了を迎えたいのですが、具体的にどのようなことに気をつければよいのかを教えてください。

“ハウスクリーニングは借主負担”という特約がある場合は?

では、契約書に「ハウスクリーニング費用は借主負担とする」という特約がある場合は、やはり借主に請求できるものなのでしょうか。
この点は、契約書に借主が負担すると記載されていても、原則として、借主が負担する必要はないと考えられます。なぜなら、ハウスクリーニングは、次の入居者を確保するために行われるもので、借主の原状回復義務の範囲を超えているからです。
ハウスクリーニング費用を借主に負担させる特約は、通常の原状回復義務を超える負担を借主に課すことになります。よって、この特約を有効とするためには、貸主側は、いくつかの条件を満たす必要があります。
基本的には「通常使用による損耗」の修繕費用を借主負担とする特約と同じですが、借主に対して、原則としてハウスクリーニング費用は貸主が負担すべきものだが、この契約では例外的に借主が負担するように定めていると明確に説明すること、また具体的な金額を示しておくことが重要です。
「退去の際のハウスクリーニング費用は借主負担とする」という条項だけで、ハウスクリーニング費用を借主に負担させることはできないので、貸主は注意してください。
ところで質問のケースでは、貸主は敷金からカギの取り替え費用を差し引いています。
カギの取り替え費用は、借主と貸主、どちらが負担すべきものなのでしょうか?
カギの取り替えは、借主が替わった場合に防犯上の観点から行われるものです。
これも、通常の使用をしていたのであれば、借主が費用負担する理由はないので、貸主が負担することになります。ただし、借主がカギを紛失して取り替えが必要となった場合などには、借主に費用を請求できます。

ハウスクリーニング代は原則として貸主負担

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ハウスクリーニングとは、一般的に、室内を清掃・消毒し、入居前に近い状態に回復する作業をいいます。ハウスクリーニングは、次の入居者確保のためにするものであり、特殊な洗浄剤や技術が必要となりますので、通常は専門業者によって実施されることになります。
この作業をすることで、長年居住したことで生じた汚れは、ある程度目立たなくなくなります。
そもそも、何年か建物を使用するうちに自然と汚れが生じてしまうのは、仕方のないことです。
したがって、借主が通常の清掃をしたのに、自然に残った汚れは、借主の故意・過失により生じた汚れとはいえません。
このような汚れは、「通常使用による損耗」といえるので、修繕費用は貸主が負担することになります。よって、ハウスクリーニング費用は貸主の負担となります。
ただし、借主の故意または過失行為により、ハウスクリーニングが必要となった場合には、その費用を借主に請求できます。

ハウスクリーニング代とカギ交換費用を敷金から差し引きたい

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3年間貸した建物の契約を終了させ、後日敷金を返還したところ、ハウスクリーニング代5万円とカギの交換費用2万円を差し引いたことに関して、借主から「建物はきれいに使用していたし特に目立ったキズもなく、掃除もきちんとしたうえで明け渡したのに、それでもこのような高額なハウスクリーニング代を負担しなければならないのでしょうか」とクレームを受けました。間違った判断だったのでしょうか?

電気ヤケと結露によるカビは

では、ヤニ以外の汚れについては、どうでしょうか?
まずは、電化製品による電気ヤケについてです。
テレビや冷蔵庫などの後部壁面にできる黒ずみを電気ヤケといいますが、これは一般的な生活をするための必需品であり、その使用で必然的に発生するものなので「通常使用による損耗」と考えられます。よって、クロスに発生した電気ヤケの修復費用は、貸主が負担することになります。
では、結露が原因でクロスにカビが発生した場合はどうでしょうか。
通常、結露は建物の構造上の問題で生じるものですから、これも借主が修繕費用を負担すべき理由はなく、修復費用は貸主の負担と考えられています。
ただし、この場合、カビを発見した後で借主がどのような対応をとったかということも問題になります。結露が発生した場合、借主には、それを拭き取ることで損害の拡大を防止したり、貸主に通知したうえで結露の発生を防ぐ措置をとる義務が課せられています。
借主がこのような義務を怠ったために、カビやシミが拡大してしまった場合には、「通常使用を超える損耗」と判断されますので、修復費用を借主に請求できます。

クリーニング代は借主負担?貸主負担?

anser
質問で指摘されているクロスの傷みが、借主の「通常使用による損耗」なのか、それとも「通常の使用を超えた損耗」なのか、その区別が問題となる点は前項と同じです。
ここでも、ガイドラインを基準に検討してみましょう。
喫煙環境は厳しくなる風潮ですが、現在のところ一般的に部屋で喫煙すること自体は認められている場合が多いですから、クリーニングで除去できる程度のヤニについては「通常使用による損耗」と考えられます。よって、ヤニがクリーニングで除去できる程度であれば、クリーニング費用は貸主側の負担となるといえるでしょう。
もっとも、借主には、賃貸物件を必要以上に汚さないように注意して使う義務があります(善管注意義務)。ですから、喫煙時に定期的に換気をするなどして、汚れを最小限にとどめるよう努力しなければいけません。
換気を怠ったことが汚れの原因であれば「通常使用による損耗」とはいえませんから、この場合のクロスの張り替え費用は、借主が負担することとなります。
もっとも、賃貸借契約において室内での喫煙が禁止されている場合には、タバコのヤニによるクロスの汚れは「通常使用による損耗」とはいえないと考えられます。
この場合も、クリーニングで除去できる程度の汚れであっても、借主がクリーニング費用を負担すべきと判断されるでしょう。

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